加速矯正
加速矯正とは
本来の歯の移動速度よりも速く歯を移動させる治療方法です。矯正治療の治療期間を短くすることを目的に行います。
あなたに最適な加速矯正を提供します
矯正治療の期間は短いほうがいいと思いませんか?
矯正治療というと、どうしても時間がかかるイメージがあるのではないでしょうか。治療内容にもよりますが、一般的な矯正治療では2〜3年くらいの期間がか かってしまいます。たとえ目立たない装置で治療を行なっていても、口の中に装置が入っていると違和感を感じたり、虫歯などのリスクがあったりするので、矯 正治療の期間はなるべく短いほうが望ましいと考えられます。
根拠にもとづいた侵襲の少ない加速矯正を提案します
歯を早く動かす方法の一つにコルチコトミーがあります。これは、歯の周りの骨に傷をつけることによって歯を速く動かす技術ですが、数か月おきに骨に傷をつける外科手術を行わなければならないという欠点がありました。
これに対して、近年では加速矯正装置と いうものが用いられるようになりました。歯や歯周組織に振動や光を加えることによって歯を速く動かす装置なので、外科手術は必要なく、自宅で手軽に行うことができます。
当院でも希望があれば、加速矯正装置を用いた治療を行うことが可能です。加速矯正装置にも振動系や光系などの種類がありますので、それぞれ の症例に適した装置を選んで使用していただきます。
加速矯正の特徴
一般的に矯正治療を行うためには、長い治療期間が必要になります。この治療期間を短くするために、これまでいろいろな方法が開発されてきました。以前は、歯の周囲にある骨に切れ目や傷をつける外科的加速矯正がよく行われていましたが、近年では、光加速矯正や振動加速矯正などが開発され、より手軽に加速矯正が行えるようになりました。歯の表からの矯正治療やマウスピース矯正など、どの矯正装置の治療でも用いることができます。
加速矯正の注意事項
光加速矯正や振動加速矯正は比較的安全な治療方法ですが、成長期の子供に対しては行いません。
外科的加速矯正は、定期的な外科処置が必要になります。
加速矯正で使用する装置(方法)の紹介
光加速矯正
近赤外線を当てると、細胞がさまざまな病気に対する耐性を示したり、障害に対する修復能力が向上したりすることが知られています(Zhang R, et al., 2009)。これはphotobiomodulation(PBM)と呼ばれるものであり、この原理を応用して歯の移動速度を速める方法が光加速矯正になります。光加速矯正を用いることで、実際に歯の移動が速くなることが報告されています(Domínguez A, et al., 2013; Kau CH, et al., 2013)。また、マウスピース矯正における装置の交換頻度は通常14日ですが、これを最短で3日に短縮することができます(Ojima K, et al., 2016)。
振動加速矯正
微細な振動を歯に加えることによって、歯の移動速度を速める方法になります。この方法では、歯の移動速度が約30%速くなるとされており、実際に治療を行った例も報告されています(Ojima K, et al., 2014)。振動加速矯正に関する質の高い研究はまだ十分に行われていませんが、今のところは歯の移動速度を速める効果があると考えてよさそうです(El-Angbawi A, et al., 2015)。
外科的加速矯正
歯の周囲にある骨に切れ目や傷をつけると、regional acceleratory phenomenon (RAP)と呼ばれる、組織の再生が促進される現象が起きます(Frost HM. 1983)。外科的加速矯正は、このRAPを利用して歯の移動速度を速める方法になります。論文でも外科的加速矯正は歯の移動速度を速める効果があることが報告されていますが(Fleming PS, et al., 2015)、傷が治ると効果がなくなるため、歯を移動させている間は定期的に外科処置を繰り返す必要があります。
その他
上記のような方法を用いなくても、ある程であれば、治療手順などを工夫するだけで歯の移動速度を速くしたり治療期間を短縮させたりすることができます。当院では、これらの技術を駆使して、なるべく治療期間が短くなるような矯正治療を提供していきます。
加速矯正の治療の目安(税込)
110,000 ~ 198,000円
加速矯正の治療例
加速矯正のよくある質問
加速矯正の安全性に問題はないのでしょうか?
加速矯正では、本来の歯の移動速度を上回る速さで歯を移動させるため、歯根吸収などの副作用が懸念されます。しかし、光加速矯正を用いて歯を動かした場合の歯根吸収について調べた論文がありますが、加速矯正を行った群と行っていない群を比較しても、特に有意な違いは認められていません(Nayyer N, et al., 2022)。したがって、今のところ光加速矯正については安全な治療方法であると考えられます。
医薬品医療機器等法上の承認を得ていない医薬品、医療機器等を用いた治療に関する情報提供について
当院における加速矯正装置(OrthoPulse・SureSmile VPro・PBM Ortho・PBM Vibe)を用いた治療は、わが国の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)において、承認等されていない医薬品・医療機器、あるいは承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器(以下「未承認医薬品等」という。)を用いた治療に該当します。従いまして、本ウェブサイト上で加速矯正装置(OrthoPulse・SureSmile VPro・PBM Ortho・PBM Vibe)に関する情報提供を行うためには医療広告ガイドラインに記載された限定解除の要件を満たす必要がありますので、その内容について以下に記します。
未承認医薬品等であることの明示
加速矯正装置(OrthoPulse・SureSmile VPro・PBM Ortho・PBM Vibe)は医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認医薬品等です。
入手経路等の明示
加速矯正装置(OrthoPulse)はオーストリアのBiolux Technology GmbHの製品であり、個人輸入により入手しています。加速矯正装置(SureSmile VPro)は米国のDentsply Sirona Inc.の製品であり、デンツプライシロナ株式会社(Dentsply Sirona K.K.)を介して入手しています。加速矯正装置(PBM Ortho・PBM Vibe)は香港のPBM Healing International Limitedの製品であり、個人輸入により入手しています。
国内の承認医薬品等の有無の明示
国内には加速矯正装置として医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けているものは存在しません。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
加速矯正装置(OrthoPulse)は2014年に欧州連合CEマークを取得し、2015年にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受けています。加速矯正装置(SureSmile VPro)は2019年にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受け、2023年に欧州連合CEマークを取得しています。現在、一般的な矯正歯科治療にともなうリスクや副作用以外で、加速矯正装置(OrthoPulse・SureSmile VPro・PBM Ortho・PBM Vibe)に特有のリスクや副作用に関する報告はありませんが、今後重大なリスクや副作用が報告される可能性があります。
医薬品副作用被害救済制度の対象外であることの明示
加速矯正装置(OrthoPulse・SureSmile VPro・PBM Ortho・PBM Vibe)は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、承認薬品を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
※当該未承認医薬品・医療機器を用いた治療の広告に対する注意事項の情報の正確性について、本ウェブサイトの関係者は一切責任を負いません。
参考文献
- Zhang R, Mio Y, Pratt PF, Lohr N, Warltier DC, Whelan HT, Zhu D, Jacobs ER, Medhora M, Bienengraeber M. Near infrared light protects cardiomyocytes from hypoxia and reoxygenation injury by a nitric oxide dependent mechanism. J Mol Cell Cardiol. 2009 Jan;46(1):4-14.
- Domínguez A, Velásquez SA. Effect of low-level laser therapy on pain following activation of orthodontic final archwires: a randomized controlled clinical trial. Photomed Laser Surg. 2013; 31(1): 36-40.
- Kau CH, Kantarci A, Shaughnessy T, Vachiramon A, Santiwong P, de la Fuente A, Skrenes D, Ma D, Brawn P. Photobiomodulation accelerates orthodontic alignment in the early phase of treatment. Prog Orthod. 2013 Sep 19;14:30. doi: 10.1186/2196-1042-14-30. PMID: 24326198; PMCID: PMC4384947.
- Ojima K, Dan C, Kumagai Y, Schupp W. Invisalign Treatment Accelerated by Photobiomodulation. J Clin Orthod. 2016 May;50(5):309-17; quiz 319-20.
- Ojima K, Dan C, Nishiyama R, Ohtsuka S, Schupp W. Accelerated extraction treatment with Invisalign. J Clin Orthod. 2014; 48(8): 487-499.
- El-Angbawi A, McIntyre GT, Fleming PS, Bearn DR. Non-surgical adjunctive interventions for accelerating tooth movement in patients undergoing fixed orthodontic treatment. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Nov 18;2015(11):CD010887.
- Frost HM. The regional acceleratory phenomenon: a review. Henry Ford Hosp Med J. 1983;31(1):3-9.
- Fleming PS, Fedorowicz Z, Johal A, El-Angbawi A, Pandis N. Surgical adjunctive procedures for accelerating orthodontic treatment. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jun 30;2015(6):CD010572.
- Nayyer N, Tripathi T, Ganesh G, Rai P. Impact of photobiomodulation on external root resorption during orthodontic tooth movement in humans – A systematic review and meta-analysis. J Oral Biol Craniofac Res. 2022 Jul-Aug;12(4):469-480. doi: 10.1016/j.jobcr.2022.05.014. Epub 2022 May 31. PMID: 35692967; PMCID: PMC9178480.