「開咬(かいこう)」とは、上の歯と下の歯があたっていないかみ合わせのことです。罹患率は約4%です。開咬といえば一般的には前歯があたっていない「前歯部開咬」を示すことが多いですが、奥歯があたっていない「臼歯部開咬」もあります。
子供の前歯部開咬の多くは、指しゃぶりや舌突出癖(舌を前に突き出す癖)などが原因で起こります。したがって、この場合は歯や顎骨を動かして治すというよりは、これらの習癖を取り除く治療を行っていきます。
タングクリブ、認知行動療法、口腔筋機能療法、など。
子供の前歯部開咬に対する治療の有効性については、2005年から2014年にかけて「Orthodontic and orthopaedic treatment for anterior open bite in children. 」という論文が出されています。また、子供の習癖を取り除く治療の有効性については、2010年から2015年にかけて「Interventions for the cessation of non-nutritive sucking habits in children.」という論文が出されています。
これらの論文では、子供のときに矯正治療を行うことによって、前歯部開咬が改善されることや、習癖が除去できることが示されています。したがって、前歯部開咬の治療は子供のうちに行なっていいと考えられます。
大人の開咬の治療は、「歯性」と「骨格性」で治療の内容が変わってきます。「歯性の開咬」の場合は、前歯や奥歯の位置を調べて、開咬の原因となっている歯に対する治療を行っていきます。前歯が出ていないことが原因で開咬になっている場合は、前歯を挺出させる治療を行っていきます。それに対して、奥歯が出すぎていることが原因で開咬になっている場合は、奥歯を圧下させる治療を行っていきます。マウスピース型矯正装置は、歯を全体的に覆う装置なので歯の圧下に有利な構造をしているため、開咬の治療を行いやすい装置になります。
表からの白い装置(マルチブラケット装置)、マウスピース型矯正装置、など。
「骨格性の開咬」の場合は、上顎と下顎のずれが開咬の原因になっているため、顎の位置を正しい位置にするために「外科的矯正治療」を行います。「外科的矯正治療」は、公的医療保険の給付の対象となります。
表からの白い装置(マルチブラケット装置)、マウスピース型矯正装置、顎離断手術、など。
参考文献
1. Contemporary Orthodontics 6th Edition. William R. Proffit, Henry W. Fields, Brent Larson, David M. Sarver. Elsevier.
2. Lentini-Oliveira DA, Carvalho FR, Rodrigues CG, Ye Q, Prado LB, Prado GF, Hu R. Orthodontic and orthopaedic treatment for anterior open bite in children. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Sep 24;(9):CD005515.
3. Borrie FR, Bearn DR, Innes NP, Iheozor-Ejiofor Z. Interventions for the cessation of non-nutritive sucking habits in children. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Mar 31;2015(3):CD008694.